三所物完結!『宝袋図目貫』編
特集
2022.03.12
俱楽部御台へようこそお越しくださいました。
本日は三所物(みところもの:「小柄」「笄」「目貫」)の中の「目貫」を皆さまと鑑賞したいと思います。
目貫とは、柄の表裏に備え付けられた小さな金具のことをいいます。
3cm程の作品の中に精緻な技術が凝縮され制作された目貫は、柄を華やかに装飾する刀装具として扱われています。
普段は柄巻の中に隠れてチラッとしか見えませんが、それもまた武士それぞれの好みの拵の見せ方に一役買っています。
芸術品としてだけではなく、実戦においては手の滑り止めの役割も果たす、三所物の中でも最も重要な刀装具といえます。他の金具が全くついていない短い拵にも、目貫だけはついていなければなりません。
どの拵にも、小柄、笄はなくとも目貫だけはついているように、三所物の制作者は、特に目貫に力を入れて制作したといわれています。
元々、目貫は柄と刀身を固定するための「目釘」(めくぎ)の頭に付けられていました。
のちに目貫は目釘と分離し、柄を握った時にちょうど手の位置に付けられるようになるとともに、拵を装飾する刀装具のひとつとされるようになりました。
また、目貫は柄の中心の目立つところに付けられたことから、江戸時代には目立つものや目立つことを目貫と呼ぶようになりました。それが転じて、街の大通りの中でも、人通りが多く華やかで賑わう通りを目貫通り(目抜き通り)と称すようになりました。
土日祝に歩行者天国になる銀座のメインストリートを銀座目抜き通りと呼ぶ方が多いです。
目抜き通りといえば、まずこの大通りを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
江戸時代になり平和な世の中になっていくにつれ、目貫のモチーフは動物や、家紋、植物、人物、古典、縁起物など、様々なデザインの物が制作されて装飾的な意味合いが強くなり、拵をオシャレに飾りました。
『宝袋図目貫』
無銘(むめい):制作者の銘がありません。銘を切るとしたら、こんな小さな目貫のどこに銘を入れるのかというと、目貫の裏側に切っていたようです。
古金工(こきんこう):『鞭手袋図笄』と同じく、だいたい室町時代のものだろうということしかわかっておらず、古い時代に作られたということが示されています。
赤銅地(しゃくどうじ):『鞭手袋図笄』と同じ材質で、銅に金を混ぜて黒色にしたものです。合金法にはいろいろあり、入れる金の割合やその他の要因で赤銅の質が変わってきます。
容彫(かたちぼり):目貫だけに使われる用語といってもいいかもしれません。モチーフの形を立体的に捉え、それを半分に割った形のものをいいます。
色絵(いろえ):いろいろな金属を使って作品に着色することを指します。
「笄」「小柄」本日の「目貫」で三所物完結です。
最後までお付き合いいただき誠に有難う御座いました。
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