鑑定書の用語を解説!『采配軍配透鐔』編
特集
2022.03.09
俱楽部御台へようこそお越しくださいました。
本日は『采配軍配透鐔』の鑑定書に出てくる用語の解説をしてみたいと思います。
無銘
武州(ぶしゅう):武州イコール武蔵国(むさしのくに)と思っていただいて大丈夫です。
武蔵国と銘を切る金工もいます。
現在の、島を除く東京都、神奈川県川崎市、横浜市の一部、埼玉県の大部分を含む地域です。ここで制作されたことを示します。
竪丸形(たてまるがた):正円ではなく、縦長のものをいいます。
この鐔は
縦 約7cm
横 約6.8cm
厚みは 約5mm
でした。
鉄地(てつじ):素材が鉄であることを指します。
肉彫地透(にくぼりじすかし):透かしの文様が(この鐔では采配と軍配)立体的になっているものを肉彫りといいます。
肉彫地透の地透(じすかし)とは、鐔の平地(ひらじ)を耳と切羽台(せっぱだい)あるいは櫃孔(ひつあなの部分や文様を残し、余分なところを全て切り取ってしまうことをいいます。
角耳小肉(かくみみこにく):角耳が、鐔の平面に対して耳が直角になっているのに対し、角耳小肉は角耳にふんわりと小肉をつけ、丸みをもたせたものを指します。
ですが昨日の『珠追双龍図鐔』のように、鐔よりも耳が高くなることはありません。
両櫃孔(りょうひつあな):鐔を表から見て(鑑定書の写真が表です)真ん中の縦長の穴を茎(なかご)もしくは茎櫃(なかごひつ)もしくは中心穴(なかごあな)といい、その左右の穴を
右が小柄櫃孔(こづかびつあな)もしくは小柄櫃、もしくは半月形櫃穴といい
左が笄櫃孔(こうがいびつあな)もしくは笄櫃、もしくは州浜(すはま)形櫃穴といいます
この左右の孔は、左の孔は小柄と呼ばれる、ペーパーナイフのようなものと、右の孔は笄と呼ばれる、耳かきや髪を掻いたりするもの頭が鐔にあたらないように設けられており、刀の持ち主の好みなどで櫃孔がない鐔も存在するので、両方の櫃穴が存在するということが書かれているのではないでしょうか。
片方の櫃孔(特に笄櫃孔)が塞がっている鐔も存在します。
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