鑑定書の用語を解説!初めての「小柄」♪『樹下談笑図小柄』編
歴史
2022.03.11
俱楽部御台へようこそお越しくださいました。
本日は三所物(みところもの:「小柄」「笄」「目貫」)のうちの小柄を鑑賞したいと思います。
小柄(こづか)は、日本刀の鞘に入るように作られた(鞘の方が小柄が入るようになっている。のほうが正しいかもしれません)小刀で、現代風にいうとペーパーナイフのようなものです。
ちょっとした緊急用の武器にはなったと思いますが、よほどの達人でない限りダーツのように相手に投げて刺すのは難しそうです。
細々した作業や、何かを削ったりする時によく使っていたようです。
鑑定書からもわかる通り、美術品としての価値は小柄の先についた小刀(穂と呼ぶこともあります)よりは、その小刀の入る柄(袋と呼ぶこともあります)の方にあります。
小柄ファンの皆さまは、小刀の方は外して白鞘(休め鞘)に入れて持っている方や、柄の部分だけを集めて鑑賞している方も多いのではないでしょうか。
この小刀も切れ味抜群なので、取扱いに注意しなければなりません。
小柄も様々な画題のある奥深い美術品なので、小柄だけを収集されていらっしゃる方もいます。魅力的な刀装具です。
『樹下談笑図小柄』
無銘(むめい):制作者の銘ないことを指します。
京金工(きょうきんこう):現在の京都で興った金工一派ですが、京金工には様々な派閥があり、京金工の小柄といえば室町時代に興った後藤一門のものであれば大変価値の高いものですが、こちらは無銘なのでどの派閥の金工が作ったものなのかもわかりません。
赤銅魚子地(しゃくどうななこじ):「赤銅」が材質のことで「魚子地」が平地の処理の方法です。
「赤銅」とは、烏の濡れ羽色に似ていることから「烏金」(からすきん)とも呼ばれ、合金法は様々ありますが、銅に金を混ぜて黒くしたものです。
「魚子地」は、昨日鑑賞した『鞭手袋図笄』と同じ平地の処理がされ、魚の卵をまき散らしたような細かな打ち込みが平地の全体に見られます。
高堀(たかぼり):こちらも昨日鑑賞した笄と同じく、平地よりもモチーフの肉が高く彫られています。
金銀色絵(きんぎんいろえ):金色と銀色で絵付けがされています。
鑑定書は少しずつ意味が分かってくると、ある手法と処理の合わせ技だったりしてだんだん理解できてきて楽しくなってきます。
ただ、なにせ歴史のある古美術なので、専門書によっても解釈が違ったり、読み方まで違うものもあるので、鑑定書の意味だけにこだわらず、アートとして古美術を楽しんでいただけましたらとても嬉しいです。
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