鑑定書の用語を解説!初めての「笄」♪『鞭手袋図笄』編
特集
2022.03.10
俱楽部御台へようこそお越しくださいました。
本日は『鞭手袋図笄』(むちてぶくろずこうがい)を深掘りしていきたいと思います。
『鞭手袋図笄』
無銘(むめい) 古金工(古金工)
山銅魚子地(やまがねななこじ) 高彫(たかぼり)
まず『笄』とは先の丸くなっている方が耳かき、先端の少し尖っている方は髷を結っている時に頭を掻くものと一般的には知られていて、他には実際に女性がかんざしにしていたとか、色々と説がありますが、美しい装飾がなされ「笄」「小柄」「目貫」三点のうちのひとつです。
ちなみに、「笄」「小柄」「目貫」の三点は『三所物』(みところもの)と呼ばれ、全てを同じ金工が同じモチーフで作ったものをいいます。
「獅子」や「武者」や「龍」で揃えたものなど、モチーフは様々です。
今度三所物のモチーフ揃いが手に入ったら、是非ご一緒に鑑賞いたしましょう。
無銘:制作者の銘がないことをいいます
古金工:刀装具が多く制作されるようになると、金工達には様々な流派が生まれていきますが、まだ何の流派もなかったころの、室町初期くらいに制作さられたことを指します。
以前サムライ書房Instagramに、古金工の鐔を載せていますので、ぜひそちらもご覧になってみてください。なんの変哲もない鐔ですが、時代が古く、保存状態も良く、「特別保存刀装具」に指定されています。
山銅魚子地:「山銅」は材質を指し「魚子地」は平地の処理を指します。
山銅:金属の分析技術がまだ発達していない時代の銅のことで、不純物が混ざっていますが、それにより独特な色味が出て、銅のものもいいですが、純粋な銅より味わい深さがあります。
魚子地:七々子地ともいいます。名前の由来は魚(な)の卵(子)。
名前の通り魚の卵を蒔いたように、丸く凹んだ鏨(たがね)を一面に打ち込む手法がとられたことを指します。
高彫:平地よりもモチーフが高く彫られていることをいいます
以上が鑑定書にある用語の説明ですが、古金工について、疑問に思われる方もいらっしゃるかも知れないと思い、補足をしたいと思います。
同じ古金工なのに、なぜ鑑定の結果が「特別保存刀装具」になったり「保存刀装具」になったりランクが違うのか、私も疑問に思っていたのですが、鑑定は時代だけではなく、保管状態やどれくらい人気かなどでも左右されてしまうので、鐔の古金工は「特別保存刀装具」で、三所物の古金工は「保存刀装具」という訳ではないのですね。
ちょっとややこしいですね…
三所物については、目貫はサムライ書房Instagramに掲載があります。
小柄は『大和守安定』の時にチラッと登場しましたが、これからじっくり皆さまと鑑賞できるのを楽しみにしております。
サムライ書房InstagramやTwitterでは、こちらに載せきれなかった写真や動画、(ママや巴ちゃんのカミカミ)音声ガイド付き動画などもございますので、そちらも合わせてご覧いただくと、ますます刀装具を楽しんでいただくことができるかと思います。
皆さまぜひご覧になってみてください。
https://twitter.com/samuraishobou
https://www.instagram.com/samurai_library
皆さまのまたのご来店を心よりお待ちしております。