【日本酒】(3)日本酒はどのように造られている? 『精米歩合』、『火入れ』ってなに??
特集
2020.08.01
前回、前々回の記事において日本酒の歴史や日本酒の種類について見てきましたが、今回はついに日本酒の造り方についてみていきます。
今回のキーワードは「精米歩合」、「火入れ」、そして「貯蔵」となります。
それでは日本酒の造り方についてせまっていきましょう。
目次
◆『日本酒』造りの精米歩合とは??味が決まる大事な工程!?
前回の記事の吟醸酒、醸造酒の話にでた、『精米歩合』についてふれていきます。
『精米歩合』とは、精米後の白米の元の玄米に対する重量の割合であり、つまりどれだけ玄米の表層部を削っているか(磨く)というものです。
私たちが食べる、一般的なお米の精米歩合は約90%で、先ほど見てきた『特別名称酒』の精米歩合は70%以下で、大吟醸酒系は50%以下という元の半分も磨いているものになります。
なぜこんなにもお米を磨くのかというと、お米の表層部に脂質やでんぷんなどの栄養素がありますが、これらの栄養素が日本酒造りでは雑味としてでてしまい、削って味の調整をするためです。
雑味が少ない(精米歩合が高い)吟醸酒系はすっきりとした味わいとなります。
雑味を用いたもの(精米歩合が比較的低い)は適量であれば旨味にもなり、醸造酒系は米のコクを味わえます。
精米歩合によって香りも変わり、『吟醸酒』の紹介の際にでてきた『吟醸香』は、精米歩合が低いほど香りが現れやすいです。
このように精米歩合は日本酒の味、香りを決める際に大事なものとなります。
◆『日本酒』に『火入れ』をするタイミングとは??
前々回の記事での日本酒の歴史の際にでてきた『火入れ』という手法についてふれていきます。
『火入れ』とは、日本酒造る際に用いられる手法で、日本酒を大体60度〜65度の温度で湯煎加熱するというものです。
なぜこの手法を用いるかというと、日本酒の発酵を止めるため、そして殺菌のためにされる手法です。
日本酒は酵母菌を発酵して造られますが、日本酒の発酵を止めるということは、火入れをしないと発酵は止まることなく進んでしまうのです。そのため『火入れ』を行うことにより発酵を止めることができ、日本酒の味わいを一定に保つことができます。
殺菌をするというのは、日本酒の味わいを損ねてしまう大敵の『火落菌』というものを、殺菌をするために『火入れ』をします。
この『火入れ』のタイミングによって、お酒の種類、そして味わいなどもまた変わってくるのです。
(出典: SAKETIMES https://jp.sake-times.com/infographics-free-download)
主に上の図のようになり、それぞれ説明していきます。
一般的な日本酒は『二回火入れ』という、貯蔵前と出荷前の合計2回の『火入れ』をします。
『生酒』は一般的なものに対して、製造から出荷まで一度も『火入れ』の作業を行わないお酒で、フレッシュで芳醇な味わいです。
『火入れ』をしていないため、品質が変わりやすく、保存方法なども難しい大変デリケートなお酒です。
『生貯蔵酒』は出荷前にのみ『火入れ』を行う日本酒で、生酒のまま貯蔵をするので、”生貯蔵”という名前になります。
『生酒』まではいかないですが、こちらもフレッシュで、生酒よりかはあっさりとした味わいです。
『生詰め酒』とは貯蔵前にのみ『火入れ』を行う日本酒で、貯蔵前に発酵を止めているため、『生酒』に比べると比較的品質は安定しています。
こちらもフレッシュで、比較的落ち着いた味わいです。
このように『火入れ』という手法によっても、日本酒の味わいなどが変わりますので、日本酒を選ぶ際に参考にしてみてはいかがでしょうか。
◆『日本酒』造りの最終工程『貯蔵』は最後の味決め?!
(酒蔵においての『貯蔵』の様子)
『火入れ』についてみてきましたが、その際にでてきた『貯蔵』という工程も大事になっていきます。
『火入れ』後または、生のままのお酒を約半年〜1年間ほど『貯蔵』をすることによって、まるみのある飲みやすい味ごろになります。
『貯蔵』している際も、品質管理を行わなければならず、蔵人(酒蔵で日本酒造りに携わる職人)は貯蔵温度の調整や酒に異常がないかなどの確認をしなければなりません。
この『貯蔵』の工程を終え、割り水などでアルコールの度数や味などを調整した後、『火入れ』や瓶詰めを行い、出荷されます。
通常の日本酒の『貯蔵期間』は約半年〜1年間なのですが、3年以上『貯蔵』をして熟成させた『古酒』というものもあります。
『古酒』はとろりとした甘みや濃厚な味わいが特徴的で、熟成しているため、色味は黄色みがかっているものが多いです。
◆まとめ
日本酒の造り方をみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
一つ一つの日本酒造りの行程が奥深いものでしたね。
日本酒を飲まれる際にこちらを参考にして頂けたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。