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鬼武蔵を兄にもつ森蘭丸。 信長の最も有名な小姓はスーパー秘書!

謎多き男、蘭丸!

雑事を嫌がった信長の内務、いわゆる後の奏者番(秘書のようなもの)、加判奉行等を努めたとあります。

今回の記事では森蘭丸の様々な逸話と共に、その生涯に迫っていきましょう!

 

◆森蘭丸ってどんな人?

(森蘭丸 家紋)

・生涯:永禄8年(1565年)〜天正10年6月2日(1582年6月21日)

・出身地:尾張葉栗郡

・織田信長の小姓として仕える

・本能寺の変で信長と共に討ち取られる

◆森蘭丸は美少年?武将?

(出典:Wikipedia)

森蘭丸(成利なりとし)、本姓は源氏。家系は清和源氏のひとつ河内源氏の棟梁『八幡太郎はちまんたろう源義家みなもとのよしいえの七男(六男説あり)源義隆みなもとのよしたかを祖とする森氏。

父は織田信長の家臣・森三左衛門可成もりさんざえもんよしなりで、十文字槍を振るう『攻めの三左』と呼ばれた古参の武将。

兄に森可隆もりよしたか森長可もりながよし、弟に森坊丸もりぼうまる森力丸もりりきまる森忠政もりただまさ(後の津山藩初代藩主)らがいます。

信長は浅井・朝倉連合軍を前に討ち死にした可成よしなりを『自分の采配ミスで死なせてしまった』と悼み、可成よしなりに代わり信長が養父がわりをしたという見方が強い。

定説では、織田信長の小姓として、信長と衆道(男色)の関係にあったとの俗説があり、この説のおかげで『森蘭丸は美少年』というイメージがついてしまいますが、絵巻物などに見る蘭丸はたくましい武将です。

◆信長の小姓として仕えた2年間

(出典:Wikipedia)

実は小姓として信長に付いたのは16歳、本能寺の変で亡くなった時は18歳でたった2年しか仕えてないんです。

ただ、本能寺で信長と運命を共にしたことなど(江戸時代以降の創作などもありますが)で、『有名な小姓』となって今日に伝わります。

元々戦国時代の小姓は美少年だから側に置いた訳ではありません。

礼服もそうですが、1人だと具足(鎧)がつけられないので、そういうお手伝いが必要だったんです。

じゃあ奥さんは手伝わなかったのか?と言えば、女性は触れるものではないという考え方も若干ありましたが『小姓』を持てない下級武士は当然奥さんが手伝う事もありました。

しかし着替えのためだけでなく、戦場においては主君のために戦い、武器を持ち、それこそ身を呈して守る訳なので、美少年なだけではつとまらない訳です。

また小姓というのは出世コースでもあったので、主君に近いそれなりの家柄の子でないとなれなかった『美味しいポジション』である反面、主君に対して息子を差し出してるという意味もありました。

ただ、跡継ぎの問題があったため、小姓になるのは次男、三男が多かったようです。

◆僅か1年弱で城主になるも信長のそばを離れず

(写真:岩村城跡)

武将として、天正10年(1582年)甲斐武田氏滅亡後、蘭丸は信長から『兄の長可ながよしと共に武田征伐の功績あり!』と誉められてお城を貰い、城主にもなっています。

武田勝頼天目山てんもくざんで自刃した13日後、織田軍による残党狩りによって武田信廉たけだのぶかどらが捕らえられ処刑されました。

その信廉のぶかどを執念で追撃した武将こそ蘭丸の兄の長可ながよしでした。

長可ながよしは配下の各務元正かがみもとまさ豊前采女ぶぜんうねめを使い執拗に残党狩りをしたため、前述の『功績』となりました。

しかし蘭丸の功績ではありません。

蘭丸は金山城や岩村城の城主になっていますが、破格の御褒美と言えます。

これは兄の長可ながよしが信濃国川中島に領地替えとなったため、その代わりに!という面もありましたが信長の『特別な待遇』が伺えます。

しかも、蘭丸は城には住まず、家老を城代(主君の代わりのお城の責任者)として、信長の側を離れなかったとのことです。

◆蘭丸のここがすごい!

信長と言えば『癇癪持ち』のイメージが強く、実際に殴られたり蹴られたりした武将も多く、まわりは気を使ったといいます。

そんな信長のすぐ側にいながら蘭丸はどう信長と接していたのでしょうか?

ある時信長は蘭丸を呼び『隣の部屋の障子が開いてるから閉めてくるように』と言いました。蘭丸が言葉に従って隣の部屋に行くと障子は閉まっていた。

普通なら『閉まっていました』で済むところですが、ここで蘭丸は障子を1度開けてからわざと音を立てて閉めたそうです。

側に戻った蘭丸に信長が、音がした事を聞くと『閉まっていましたと言えば信長の間違いを指摘することになるので』と閉めた既成事実を作ったのです。

また、ある日信長が爪を切って、それを捨てて来るようにと蘭丸に爪を差し出しました。

切った爪を受け取った蘭丸は真っ先に爪の数を数え、9個しかない事を確認すると、必死に1つの爪を探したそうです。

信長はこういう『信長のまわりに対して気を使えるところ』を重宝し、たかが爪1つでも主君からの命令を果たす実直さを気に入っていたんでしょうね。

◆まとめ

目上の人や上司に愚痴ばかりこぼしている人の多い現代、主君に気を使えるというのはゴマをすってるようにも感じられるかもしれませんが、こういうことができるから戦でも生き延びられるというエピソードを持つ武将は多いんです。

蘭丸は現代においては『理想的な秘書』とも言えます。

蘭丸の行動をもう1度見直すのも今の時代に生きる私たちにとって必要なことかもしれませんね!

 

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