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織田四天王の1人『滝川一益』! その『誠実さ』を信長にも一目置かれていた正体不明な男に迫る!

正体不明の一族『滝川一益(いちます、かずます)』は元は忍者?

織田四天王の戦上手にして関東方面軍司令官は『結果を出す男』!

真田とも繋がりがあったと言われる『誠実なる武将』の生涯に迫ります!

 

◆滝川一益ってどんな人?

(出典: Wikipedia)

・生涯:1525年〜1586年(享年 62歳)

・出身地:不明(様々な説あり)

・加賀の忍者という出自の説もある

・織田信長の有力家臣『織田四天王』の内の一人

豊臣秀吉は一益を和平交渉役として登用した

◆出自不明で謎な男『滝川一益』は忍者だった!?

『滝川一益』は柴田勝家、丹羽長秀にわながひで明智光秀らと共に『織田四天王』に数えられ、『進むも退くも滝川』と言われたほどの戦上手の猛将ですが、実は織田家中でも1、2を争う『正体不明』の人物なのです。

ここで言う「正体」とは本人ではなく『出身』が不明、ということ。

つまりは「どこそこの一族の出」という部分なのですが、戦国時代にその部分をこだわる人が多かったのは『敵の一族だったらどうする?』という心配があったからです。

いつ誰が裏切るかわからない戦乱の中。身元のしっかりした人がいい訳ですね。

一益の身元、出自を辿ると、一益のお父さんが『滝川一勝』という人物というのは分かっているようですが『その先』、つまり一勝が誰の子で、誰に仕えていたか? などがはっきりしていません。

一益の出自に関しては様々な説がありますが、一番ポピュラーなのは『甲賀の国人』説、いわゆる甲賀者(忍者)の出身というもの。

よく時代小説には『滝川配下の忍者が~』、というような記述も見受けられます。

史実においても、一益の孫の滝川一積が使えた中村氏は、甲賀二十一家の一家(瀧または多 

喜家)の流れと言われています。 

また他には志摩の九鬼嘉隆くきよしたかの仲介という説があり、後に伊勢攻略の担当をしたり、北伊勢の 

所領など、伊勢出身を匂わす記述もあります。 

さらには『勢州軍記』によれば『殺人を犯して住んでいた所を追い出され、尾張に流れてき 

た』と書かれているようです。 

忍者なのか伊勢・志摩の縁の人物か、または殺人の前科者か。 

多くの戦国武将は見えっ張りなので、大抵『実は誰其の子孫』とでっちあげるのですが、そういう記述もあまり見当たらず。 

そんな『正体不明』の滝川一益を召し抱えてしまうのが、出自より能力主義だった織田信長 

でした。 

ただ、一益が鉄砲の腕を買われて召し抱えられたという逸話があるにはありますが、実際のところ一益が信長に仕えた時期などはよくわかっていません。 

また余談ですが、有力説である甲賀忍者説に関しては、当時から鉄砲を用いるのは身分の低い者か忍が多かったので、この説の肯定材料の1つではあります。

◆能力主義の信長が認めた一益の強さとは?

信長の目に止まった一益は、天正元年(1573年)の刀根坂とねざかの戦い、翌年の長島一向一揆の鎮圧にも出陣し、三度目の戦では水軍の将となり、海上射撃したといわれています。

この功績で、一益は北伊勢の領地と長島城を信長から与えられました。

天正3年(1575年)の、武田軍を破った長篠の戦いや、その後の天目山の戦いなど、一益は武田を相手取った戦に関わり、ついに勝頼を討ち取ったのです。

この時に信長から古備前高綱こびぜんたかつなの太刀』という刀をもらっています。

『古備前高綱の太刀』は鎌倉初期の剛健な刀で、『桃山こしらえという美しい装飾がされている重要文化財となっています。

現在この刀は東京都世田谷の『静嘉堂せいかどう文庫美術館』に所蔵され、当時の武将の姿を現代に伝える刀として有名です。

また、一益は信長にこの戦後に上野(現在の群馬県)と信濃(現在の長野県)の小県郡、佐久郡を与えられ関東御取次役という地位も与えられました。

更に信長の名馬『海老鹿毛えびかげ』と短刀も送られ、信長がいかに一益の働きを気に入っていたかがわかります。

一益は上野の箕輪城みのわじょう、後に厩橋城まえばしじょうに入り信長の軍団の『関東方面軍総司令』と言うべき地位を与えられました。

要するに滝川一益という武将は『確実に成果を出す武将』と言えるでしょう。

能力主義の信長はそういう所が気に入ったのか、一益は同4年の天王寺合戦、同5年の雑賀攻め、同6年には木津川口の戦い(第二次)など、信長の重要な戦いにはほとんど参戦しています。

◆誠実なる武将『滝川一益』ははあの秀吉にも認められていた!?

(『賤ヶ嶽大合戦の図』 出典: Wikiipedia)

本能寺の変の5日後、信長の死を知った一益は、その事実を知らなかった上野、下野関東諸 

将を集めて信長の死を公表し、

 「かくなる上は信長公の恩に報いる為、織田信長公の次男、三男である信雄様、信孝様を守って、明智光秀と戦う! だが、この隙に、私の首を取って北条側に寝返るつもりの者がいたら遠慮なく戦を仕掛けよ! その時は堂々と北条と戦ってから、光秀との戦に向かう!」 

と信長の死を正直に打ち明け、逆に信頼を得る『義将』としての逸話(『甫庵信長記ほあんしんちょうき』より) 

があり、一益は関東や信濃の国人にかなり人気がありました。 

中でも真田家とはかなり親しく、一益の一族には落ち延びた後、真田家に身を寄せる者もいたよう です。

ちなみに一益の孫、一積は未亡人であった真田昌幸の娘をめとっています。つまり真田幸村とは義理の兄弟ということになりますね。

余談ですが、一積は幸村の娘達にも縁組を持ち込んでいるという世話焼きな面もありました。

その後、信長の死を知った北条が攻めてくると、一益はこれを迎え撃つが、初戦は敗退。 

戦力差も考えた一益は、初戦で死んだ兵士の供養を行い、北条から預かっていた人質を丁寧に北条に送り出し、家臣を集めて宴会を開き、上野の武将達に刀ややりよろい等を与えました。

さらにその上野(群馬)の武将達が人質として差し出していた彼らの妻子さえも解放してから、一益は城を堂々と退去しています。

普通、寝返りや追撃を考え、人質は自分が安全なところに行くまでは放さず。

宴会を隠れみのに途中で逃げたり、反乱を恐れ、刀や武器防具等は持ち出したり、逆に取り上げたりするものなのです。

つまり『やるならどうぞ』という意味での行動だったのです。

その一益の誠実な去り際を見た上野の武将達は追撃や寝返りはせず『表裏比興ひょうりひきょうの者』真田昌幸までがが、木曾まで一益を警護したという逸話もあります。

信長の死後、中国地方司令官だった秀吉が猛スピードで戻り、明智光秀軍を撃破したことで秀吉がイニシアティブを取り、織田家の中で発言力を上げていくと、柴田勝家と対立し、賤ヶ岳しずかたけの戦いとなりました。

賤ヶ岳しずかたけでは一益は柴田側に付きましたが、柴田軍は敗れ、勝家が自刃します。

一益も籠城ろうじょうをしましたが、多勢に無勢でした。

ついには秀吉に降伏し、領地は没収され、本人は出家するところとなりました。

しかしこの後、小牧・長久手の戦いが始まると、秀吉は一益を復帰させたのです。

戦はなし崩しの和平交渉で終わりましたが、この時繋ぎを務めたのが一益でした。

秀吉は一益の誠実さを和平交渉役として使ったと考えられ、以降も東国外相、つまり関東方面の外交役を担ったようです。

天正14年(1586年)9月9日、一益は62歳で死去しました。

◆まとめ

一益は信長配下には珍しい『人望のある誠実な武将』でした。

通常人質がいて戦になった場合、その人質は殺してしまうのが「普通」だった時代にわざわざ送り出したり、その土地の武将達の妻子も返したり。

城を出たら、今までの家臣が寝返って追いかけて来ないように武器を取り上げるか、こっそり逃げるものを、品物を与えて宴会まで開いた。

だからこそ追撃はされなかった一益。

もしかしたら、一益の一番の武器は彼の「誠実さ」だったのかもしれません。

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